新型コロナウイルスが蔓延し、いつ感染しても不思議じゃない環境を我々は生きている。その感染拡大防止のための余波が、我々のセックスにも及んでいる。
マスクしてキス。正常位は避ける。セックスはそもそも「密」な行為なのだが、なるべく密を避け、俺は緊急事態宣言下でもセックスを楽しんでいた。
相手はワクメで知り合った20代前半の女。昨年(2019年)末に知り合って今に至っているのだが、セックスは欠かしたことがない。だが政府から自粛生活を強いられてからは、セックスの内容に少々変化が見られた。
以前は生でしてくれていたフェラがゴムフェラに変わったのである。
「おちんちんにコロナがいたらヤバいからね」
そんな話は聞いたこともないが、このご時世だからしかたないと、ゴムフェラを許容した。生に比べたら格段に落ちる感度だが、してくれないよりはましと、ゴムフェラを楽しもうと自分の意識を変えた。
だが最近は、ゴムフェラも悪くない、いやゴムフェラのほうが気持ちいいと思うようになった。
コンドームはそもそも避妊セックスのツールであり。単純だが妖しいその形状はセックスを連想させる。コンドームを見て密かなセックスを想像しない人はいない。そのコンドームがペニスにかぶせられ、その表面を女の舌が這うのである。女の口がゴムで覆われた勃起ペニスを咥え、妖しい音を立てながらジュボジュボとゴムフェラにいそしむ。
あぶく混じりの唾液が透明のゴムを伝って恥骨にあたりにこぼれてくる。
(エロいな……)
いかにもフェラチオされているという感がある。危険で、できれば避けたいフェラチオを、ゴムをかぶせてあえて敢行。とても危ない遊びをしているようなスリルも手伝って、俺は視覚的な快感に浸っていた。
ゴムフェラも悪くない。
コロナ終焉後も、俺はゴムフェラを楽しむだろう。
彼女もそれでいいというに違いない。
閉じた目の、満足げな睫を見ているとそう思えてくる。
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